2018年11月9日金曜日

ハイマー『多国籍企業論』における「優位性」と「比較優位」の統一的理解 (2017/12/12)

 大学院講義。受講者2名。先週と今週はスティーブン・ハイマー『多国籍企業論』。謎の多いこのテキストだが,この11年の間に7回も講義して,ようやく理解がまとまった。
 先週は,ハイマーが示しているモデルについて,ハイマー本人が意識しているように寡占論的に,さらに後期ハイマーのように意思決定のヒエラルキー論として理解した場合と,取引費用論的に理解した場合とでインプリケーションが異なって来ることが整理できた。
 今週は,長い間二律背反ではないかと思っていた企業単位の「優位性」論と比較生産費の「比較優位」について,統一解釈が可能だという見地に達した。企業に帰属する物的・技術的優位性と産業・企業に二重に帰属する価値の創出・取得上の比較優位は,互いに影響を与えながらも原理の異なる二重の存在と把握できる……って,あれだけ考えたあげく,「生産力と生産関係」「使用価値と価値」みたいな結論に!
 いま全然時間がないが,いちど研究ノートか何かにしておきたい。しかし,20年早くこの理解に達して,2人の師匠のどちらかの退官記念号に書くべきだった。本当に,亀のような速度でしか学んでいないのだ。


2017/12/12 Facebook
2017/12/18 Google+





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