このメモは2015年11月5日にFacebook登校したもの。ギリシア危機から,緊縮政策の問題点に気がつき始めた頃だ。一方で反緊縮政策,他方でリフレ論は適切でないという組み合わせの見地に私が達するまでは,もう少し時間がかかった(2018/11/13)。
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ランカスター大学からおいでの政治経済学者Michael R. Krätke教授のセミナーに出た。テーマはギリシア危機。ふだん関心を向けていなかったので,失業率25%,7年間で喪失した実質GDP25%というギリシア経済の状況の悪さに驚く。一般論で借金を返せというのはわかるが、これで緊縮政策だけ迫っても解決しないだろう。
教授の意見では,「ユーロは中途半端なシステムだから危機が起こる」ということらしい。
・ヨーロッパ中央銀行はあっても,最後の貸し手と想定されていない。
・統一通貨はあっても,共通の預金保険制度はない。
・統一通貨はあっても,共通の財政移転制度はない。
・統一通貨はあっても,共通の包括的金融監督システムがない。
・共通市場政策はあっても,共通の金融・経済政策はない。
・EUの財政権限が弱い。
したがって解決策は,ヨーロッパ中央銀行を強化し,かつインフレ退治だけに集中させるドイツ的発想ではなく,最後の貸し手機能を強化せよ,ユーロ・ボンドの発行を拡大して資金的基盤を強化せよということになるらしい。時間がなくてお尋ねできなかったが,おそらく財政政策も強化せよとおっしゃるのだろう。
Professor Michael R. Kraetke, Research Directory, Lancaster University
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