しばしば誤解されているが、ウルトラマンは、地球を守るために光の国から派遣されたのではない。
ウルトラマンは、地球に逃げてきた宇宙怪獣ベムラーを追いかけて来たのだが、誤ってハヤタ隊員の乗るジェットビートル機に衝突してしまった。ハヤタの生命を奪ってしまったことを申し訳ないと思い、ハヤタを生かすために一心同体となって、ついでに地球の平和のために働くことにしたのだ。つまり、交通事故の責任をとったのだ。
最終回で、宇宙恐竜ゼットンに敗れてこときれそうになっているウルトラマンを、光の国の使者ゾフィーが迎えに来る。光の国に帰ろうというゾフィーに対してウルトラマンは言う。
「ゾフィー、私の身体は私だけのものではない。私が帰ったら、一人の地球人が死んでしまうのだ」
(ウルトラマン、お前はもう十分、地球のために尽くしたのだ。地球人は許してくれるだろう)
「ハヤタは立派な人間だ。犠牲にはできない。私は地球に残る」
(地球の平和は、地球人自身の手でつかみ取ることに意味があるのだ。ウルトラマン、いつまでも地球にいてはいかん)
「ゾフィー、それならば私の命をハヤタにあげて地球を去りたい」
(お前は死んでもいいのか)
「かまわない。私はもう2万年も生きたのだ。地球人の命は非常に短い。それに、ハヤタはまだ若い。彼を犠牲にはできない」
(ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか。よろしい、私は命を二つ持ってきた。その一つをハヤタにやろう)
「ありがとう、ゾフィー」
ウルトラマンは、「地球」のためではなく、「ハヤタ」という一人の地球人を好きになったために、自分の命を犠牲にしてもよいと言ったのである。ウルトラマンと地球人の交流は、初めからこのように描かれていた。異なる世界から来て出会った一つの命と、もう一つの命の出会いの物語としてだ。
星と星としてでもなく、国と国としてでもなく、正義を守る星という大義名分と美しい緑の星という大義名分としてでもなく、一つの命と一つの命として、ウルトラマンとハヤタは出会った。私もそのように他の人と出会いたい。
※『ウルトラマン』最終回のセリフはすべて記憶によるものです。まちがっていたらすみません。
2022年7月。セリフの誤りを修正。
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