2018年11月13日火曜日

日本が「汚染列島」と呼ばれていた頃:『ファイヤーマン』の思い出 (2017/10/12)

 『ファイヤーマン』のサントラCDが出ていたと知り,買った。番組はマイナーだがCDは2枚組という中高年向け商売。作曲は『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンA』『ウルトラマンレオ』も手掛けた冬木透先生。1973年に円谷プロダクション10周年記念番組として『ウルトラマンタロウ』『ジャンボーグA』とともに放映されたが,視聴率は伸びず,30話で終了した。

 『ファイヤーマン』の苦戦は『サザエさん』の裏番組というこの上なく無謀な放映時間によるところもあったが,特撮番組乱立の当時,ウルトラシリーズとの差別化が今一つ十分でなく,またコンセプトやシリーズ構成の甘さもあったと思う。

 とはいえ,初期は‌人間の自然破壊に対する自然の側からの反動から事件が起こるという問題意識に導かれており,防衛チームは科学者からなるSAFでありながら,科学文明の帰結にしばしば戸惑う姿を見せた。俳優の中では,とくに水島隊員役の岸田森がしぶかった。岸田が自ら脚本を書いた第12話「地球はロボットの墓場」がもっとも有名であるが,私は第5話「ジュラ紀へ落ちた少年」も好きだ。

 だが,やはり家族の圧力に負けて『サザエさん』にチャンネルが合わせてあったのか,子どものころに視たことはほとんど覚えていない。若者のために補足すると,当時はビデオなどないので裏番組は見ることができない。その後中学時代,早朝に『ファイヤーマン』をやっていると知り,無理やり早起きしてカセットテープで録音の準備をして視たものだ。主題歌がどこかで聞いた声だと思ったら「およげ!たいやきくん」の子門真人だった。もう一度若者のために補足すると録画ではなく録音である。再三再四補足すると,当時はビデオもネット配信もないので,1度見逃すと何年も見られなくなる。それでもウルトラシリーズなら5年ほど待てばまた再放送されるが,『ファイヤーマン』となるとそうはいかない,現に,この中学時代の後,25年ほど見られなかった。そのため音だけを繰り返し聞き,「ジュラ紀へ落ちた少年」の水島隊員のセリフを覚えた。このCDを買ったときにアマゾンビデオで番組もネットレンタルされていることを知り,また10年ぶりくらいに見て確かめたが,おおむね正しかった。

「これはもっともおそろしいことなんですが,あのオレンジ色の液体は,雨が運んできた大気汚染物質が,凝縮されてできたと思われるんです」。

「今もどこかで,あのオレンジ色の液体は,雨となって降り続いているかもしれないんだ」。

 ときは1973年。番組中で日本は「汚染列島」と呼ばれていた。

ファイヤーマン MUSIC COLLECTION(作曲:冬木透,歌・子門真人)

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