2018年10月22日月曜日

ベトナム中部における魚の大量死第10報: FHSが第1高炉の火入れを延期 (2016/6/21)

 Focus Taiwan,Thanh Nien News,Nikkei Asian Reviewなどの報道によれば,6月15日,台湾のフォルモサ・プラスチック・グループ(FPG)は,25日に予定されていた子会社の鉄鋼メーカー,フォルモサ・ハティン・スチール(FHS)(ベトナムハティン省ヴン・アン経済区に立地)の第1高炉火入れを延期すると発表した。FHSの張復寧副社長が発表した。原因として同社は,ベトナム当局が,FHSが納入すべき税金7000万ドルが未納になっていると主張している件について,未解決であることを上げている。
 補足すると,ホット・ストリップ・ミル(熱間薄板連続圧延機)はすでに稼働しているので,すべての設備が動かせないわけではない。
 このケースを単なる脱税容疑をめぐる個別事件とみてよいかどうかは,注意する必要がある。産業基盤の弱さを補うために,外資に対して相当な優遇措置を施してきたベトナム当局が,その姿勢を変更させている表れかもしれないからだ。
 また,この火入れ延期の背景には,ベトナム中部において70トン以上の魚が死亡した海洋汚染問題でFHSに疑いがかけられており,これに関するベトナム政府の調査結果がまだ発表されていないことも関係しているのではないか。
 FHSは,途上国において100%外資で建設される大型の一貫製鉄所だ。鉄鋼業においても外資主導の本格産業発展が可能であるかどうかを占う,注目すべきプロジェクトと言える。そのFHSが,一方では外資優遇措置の是非をめぐり,他方では環境汚染をめぐって困難に直面していることもまた注目すべきである。FHSがこの難局を,ベトナムの市民の信頼を回復する形で乗り越えるか。政府のサポートによって押し切るか。それとも深刻な挫折に直面するか。ベトナム政府の外資優遇による工業化戦略は変化するか否か。見過ごすことはできないケースとなるだろう。
 しかし,すべては事実に依拠しなければならない。ベトナム政府の早期の調査結果発表と,それをめぐる科学的な議論が必要だと私は考える。
 本稿は,他の要素も絡んだ話になっているが,ベトナム中部における魚の大量死問題第10報としても読んでいただきたい。
"FPG confirms Vietnam steel firm operations postponed," Focus Taiwan, June 15, 2016.
http://focustaiwan.tw/news/aeco/201606150014.aspx

"Taiwan’s Formosa delays plant opening in Vietnam: report," Thanh Nien News, June 17, 2016.
http://www.thanhniennews.com/business/taiwans-formosa-delays-plant-opening-in-vietnam-report-63232.html

Cheng Ting- Fang, "Vietnam delays start-up of steel plant pending investigation into mass fish deaths," Nikkei Asian Review, June 18, 2016(リンク切れ).
http://asia.nikkei.com/Business/AC/Vietnam-delays-start-up-of-steel-plant-pending-investigation-into-mass-fish-deaths

2016/6/21 Facebook
2016/7/1 Google+

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