2018年10月29日月曜日

「日産自動車」グループの下請企業実態調査についてのコメント (2017/10/27)



帝国データバンクが日産自動車グループの下請け企業実態調査結果を公表しているので,気づいた点にコメントする。
 
*下請け先数
・合計:1万4651社
・1次:1730社
・2次:1万2921社
*1次・2次従業員数(非正規除く):79万611人
 やはり自動車メーカーの下請けシステムはすそ野が広く,それだけに今回の不正に伴う生産停止の影響が懸念される。
*都道府県別の下請社数上位
・東京都:3625社
・大阪府:1545社
・愛知県:1534社
・神奈川県:1441社
*生産拠点のある県の下請社数
・福島県:105社
・栃木県:255社
・神奈川県:1441社
・福岡県:385社
 東京と大阪,拠点のある神奈川に多いのはわかるとして,愛知県も多い。これはトヨタ系の下請が日産とも取引しているからではないのか。自動車メーカーの系列相互の乗り入れは,世間で言われるよりははるかになされているが,トヨタと日産の系列は交わりが少ないと言われていた。それが変わってきているのかもしれない。
 また拠点のある都道府県の中で福島県は下請の数が少ない。エンジン工場であるいわき工場の下請けへの発注はそれほど多くないのだと思われる。いわき工場にはこれまで何度か訪問したが,トヨタ東日本と比べると「現地調達」がそれほどさしせまった問題になっていないし,行政からの要請も強くない。
*業種別の数(1次)
・自動車部分品製造:70社
・ソフト受託開発:68社
……
・労働者派遣業:55社(5位)
*業種別の数(2次)
・ソフト受託開発:538社
……
・金型・同部品唐晴造:327社(6位)
・機械同部品製造修理:323社(7位)
・金属プレス製品製造:301社(8位)
・製缶板金業:294社(9位)
・自動車部分品製造:280社(10位)
 自動車部分品製造は1次では1位だが,2次では10位であり,他の製造業の方が多い。2次下請けは,自動車部品を本業とするのではないメーカーの方が多いのだ。また,ソフト受託開発が1次で1位,2次で2位。いかに自動車が電子化しているかがわかる。さらに労働者派遣業が1次で5位ということは,派遣が日産自動車本体で広範に活用されていることを意味する。ただし,専門家派遣か製造業務か事務かはわからない。
*年商規模別
・10億円未満:1次904社(52.3%),2次8886社(68.8%)
・500億円以上:1次12社(0.7%),2次62社(0.5%)
 中小企業が多い。1次についても多い。年商はもっと上位に集中しているだろうが,数で言えば中小企業が多数だ。

「日産自動車」グループの下請企業実態調査,2017年10月23日,帝国データバンクウェブサイト。
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p171006.html

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