2018年10月27日土曜日

同一労働同一賃金に向けた賃金改革 (2016/11/30)



 記事を読んでのメモですが、これから「企業論」講義第4章の参考資料として掲載します。

 日本の多くの企業の賃金形態(何に賃金を払うか)は、正社員が職能給で、これはタテマエが能力給、実態が査定つき年功給です。この年功給というのは、年齢・金属とともに賃金が上がるという意味です。人事査定と昇進競争はあり、後輩が先輩を追い抜くことは可能です。
 一方、非正規は職務給です。仕事に賃金がついています。勤続で昇給することはありません。
 職務給であれば、職務分析と職務評価をきちんとすれば同一(価値)労働同一賃金を実現できます。誰がやろうと、同じ仕事なら同じ賃金です。違う仕事でも、必要技能や責任や肉体的精神的負荷などをよく分析して、やはり誰がやるかに関係なく、仕事の性質に応じて賃率の差をつけられます。これが同一価値労働同一賃金の意味です。
 しかし、職能給、まして年功化したそれではできません。同じ仕事であっても、勤続とともに、能力が上がったという建前の下に昇格・昇給するからです。
 とすると、正社員は職能給のまま、非正規は職務給のままでは、格差是正や同一(価値)労働同一賃金は実現できないことになります。ここが最大の頭痛の種です。正社員の職能給を思い切って廃止する企業も出てくるかもしれませんが、社会の種々の制度・慣行、とりわけ教育費の自己負担額の大きさと住宅取得費用の高さが、「右肩上がり賃金でないと暮らせない」という状態をつくりだしているので(だから非正規だと苦しい)、なかなか簡単には進まないでしょう。
 当面できることとしては、この記事のりそな銀行の方式が妥当な線だと思います。賃金体系(賃金がどのような構成部分からなっているか)を工夫して、職務給の部分は同一価値労働同一賃金にし、それ以外のところで具体的な理由により、正社員、限定正社員、パートの差をつけようというのです。年功部分を残す場合は、そういう構成部分をつくればいいでしょう。基本給は職務給、別に勤続給をつくるとか。
「りそな銀行は正社員、業務範囲などを限定する限定正社員、パートの3つの職種で共通の職務等級制度を適用し、同じ等級なら時給換算の基本給も同じだ。一方で職種に応じた責任の違いや転勤・異動の有無などを賞与や退職金、福利厚生に反映して差をつけている。」
 日本の正社員は、賃金制度がことなるだけでなく、雇われ方、働き方自体が非正規と異なります。特定の仕事のためにに雇われるのではなく、会社に雇われて、勤務地や仕事内容は会社が決めます。仕事の区分があいまいだから残業も多くなります。初めから日本にいると気が付きにくいのですが、これは働く方にはたいへんな負担であり、女性の活躍も妨げます。パートナーといっしょに住みたいために、仕事を辞めて引っ越したりするからです。そのこと自体も改革の対象であり、りそな銀行のような限定正社員は一つの解決方法です。パートから地域正社員に転換できるようになると、もっとよいでしょう。全国転勤はできないという人も、正社員になれますから。
 一度にすべてはできませんから、当面は、無限定な働き方という正社員の負荷を、決められた仕事のために雇われる非正規や、両者の中間である限定正社員との賃金差の根拠にするのが合理的だと思います。

2016/11/30 Facebook

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