ベトナム中部における魚の大量死問題第15報。環境総局によるフォルモサに対する検査の経過について（2016/8/25)

　ベトナム中部における魚の大量死問題第15報。ベトナム環境総局環境保護・調整局（Environmental Protection and Control Department, Vietnam Environment Administration）のLuong Duy Hanh局長が，フォルモサ・ハティン・スチールへの法的処罰の可能性について語ったインタビュー。
　環境総局では，昨年にもフォルモサの検査を行い，今年の初めに法的違反はないと結論付けていた。その後に，魚の大量死が発生し，天然資源・環境省（MONRE）による検査チームはフォルモサによる53の違反行為を発見した。インタビュアーはこの点を追求している。Hanh局長の見解をまとめると以下の通り。
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　検査時にはフォルモサのコンプレックスの発電所だけが完成しており，試運転中だった。環境法と政府の諸規制では，廃棄物の発生源の所有者とは，廃棄物を発生させる施設を所有または運営するもののことだ。契約上，フォルモサの請負業者が建設現場の廃棄物に責任を負い，天然資源・環境局に登録しなければならない。フォルモサ・ハ・ティンはその登録エリアで発生した年間175キログラムに上る廃棄物に責任を負っていた。検査中，フォルモサは有害物を98キロだけを持っていた。フォルモサは，請負業者は分類されていない有害物にも責任を負わねばならないと主張した。
　われわれは天然資源・環境局と議論し，フォルモサを処罰することはできないと結論づけた。その後フォルモサは有害物をアン・ズォン（An Duong）社に移した。その後の天然資源・環境省による検査の時にも53の違反が見つかったが，フォルモサはこれらは請負業者によるものだと主張した。
　われわれは，どれだけの違反にフォルモサが関与し，どれだけが請負業者の過失によるものなのかを明らかにすべく，公安省，最高人民検察院，最高人民裁判所から意見を集めている。
　フォルモサは，環境総局が検査結果を発表したころに廃棄物の放出を始めたが量は少なかった。有害廃水は，工場が1日1200立方メートルを放出した3月に増加した。最初の検査結果は間違っていない。それは2015年6月から9月については正しく，当時コンプレックスは完成していなかった。われわれは義務を遂行し，違反は請負業者によってなされたと結論付けた。
　魚の大量死がニュースになり，フォルモサがパイロットプログラムの拡大を要求した時，われわれは何かがおかしいと考え，別の検査が必要だと報告した。われわれは天然資源・環境相に，廃棄物の量を点検し，フォルモサに対する補償の案件を進めるための証拠を見つけるために，すべての文書を掌握することを要求した。52万2000立方メートルの廃棄物の行方が分からなかった。文書は改ざんされていた。ほとんどの違反は行政的な問題だった。6つの違反は犯罪行為を示唆している。天然資源・環境省は書類を公安省に送付した。
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　ベトナムだけの話ではないが，実際の違反行為がフォルモサによってなされたのか，あるいは請負業者によってなされたのか，請負業者は廃棄物処理の資格を持っていたか，請負業者によって違法行為がなされた場合にフォルモサも責任を負うかという問題が存在している。
　記事によれば，アン・ズォン社はアーバン・エンバイロンメント一人有限責任会社の傘下にある。このアーバン・エンバイロンメント社は，魚の大量死よりも後に発覚した，陸上での廃棄物投棄事件の方でも名前が登場する。
　なお，組織名がややこしいが，環境総局（Vietnam Environment Ministry）は天然資源・環境省（MONRE）傘下の組織。
　まだ事件は終わっておらず，さらに追跡する必要がある。
”Investigation continues into Formosa over mass fish deaths,” VietNamNet Bridge, August 19, 2016.
http://english.vietnamnet.vn/fms/environment/162372/investigation-continues-into-formosa-over-mass-fish-deaths.html

"Formosa in trouble again for dumping industrial waste," VnExpress, July 13, 2016.
http://e.vnexpress.net/news/news/formosa-in-trouble-again-for-dumping-industrial-waste-3435862.html