2018年10月27日土曜日

ベトナム中部における魚の大量死問題第16報。フォルモサに対する抗議行動と訴訟 (2016/10/7)

 ベトナム中部における魚の大量死問題第16報。フォルモサ・スキャンダルはまだ終わっていない。

 10月2日,10000人ないし15000人の市民による抗議行動がフォルモサ・ハティン・スチール(FHS)の製鉄所付近で行われた。New York Times紙はここに至る半年の経過を含めて報じている。現地の写真が載っているのでGlobal Voicesの記事をシェア。NYTでは,抗議行動は地方のローマ・カトリック教区によって組織されたと報じられている。Yotubeには現地で撮影された動画もアップされている。
 私が現在入手できる限りの情報ではおおむね平和的な抗議行動であり,警官隊とのもみあいもあったようだが,大規模な暴力的衝突にはならなかったらしい。参加者の一部はFHSの外壁によじ登ったり,落書きをしたりした。この行為は警官隊に実力阻止はされなかった模様だ。

 またTaipei Timesの報道によれば,漁師が中心であると思われる506名が,FHSの閉鎖と損害に対する補償を求めてハティン省Ky Anh町の人民裁判所に提訴した。原告団はカトリックの神父であるDang Huu Namに率いられている。彼によれば,漁師たちは15台のバスで200キロを旅してKy Anhまでやってきた。裁判所は9月26日に199の訴えを,27日に307の訴えを受け取った。ベトナムの法律では,訴えは個人としてなされねばならない。
 この報道によれば,7月に国会に報告されたところによれば,FHSの廃液が原因で115トンの魚が200キロメートル以上にわたる海岸線に打ち上げられ,被害は4万1000人の漁師を含む20万人の人々に及んだ。

 NYTの解説では,ベトナムの多くの一般市民が,フォルモサ・ハティン・スチールをベトナムに対する中国の経済的影響のシンボルとみていると伝えている。FHSの場合は,2014年5月に反中国暴動に襲われたが,その時には大陸中国から働きに来ていた労働者が襲撃されて死亡した。FHSの親会社は台湾プラスチックであり,大陸中国の資本は入っていない。しかし,NYTは,中国とベトナムをひとくくりに見る人が少なくないという。
 実は,私も8月にベトナムを訪問した際に,弁護士の資格を持つ知識と教養ある方がFHSの問題イコール台湾の問題イコール中国の問題とみなしているので驚いた記憶がある。
 このことの背景は歴史的に根深いのかもしれないが,直近の,スプラートリー(南沙)諸島をめぐるベトナムと中国の対立とも連動していると見るのが自然だろう。台湾も南沙諸島の領有権を主張しているため,ベトナムとは対立している。

Dong Le, Six Months After Massive Fish Kill in Central Vietnam, Thousands Protest Lack of Aid, GlobalVoices, October 4, 2016.
https://globalvoices.org/2016/10/04/six-months-after-massive-fish-kill-in-central-vietnam-thousands-protest-lack-of-aid/

Mike Ives, Outrage Over Fish Kill in Vietnam Simmers 6 Months Later,New York Times, Octover 3, 2016.
http://www.nytimes.com/2016/10/04/world/asia/formosa-vietnam-fish.html

Youtubeにアップされている抗議行動の動画。他にもいくつかあり(リンク切れ)。
https://www.youtube.com/watch?v=yZnUCtltWx8

Hundreds of Vietnamese fishermen sue Formosa Ha Tinh Steel over fish deaths, Taipei Times, September 28, 2016.
http://www.taipeitimes.com/News/biz/archives/2016/09/28/2003656065

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