手数料無料化でLINEペイが普及し,銀行預金の決済取引が減り,銀行の収益基盤を切り崩すだろうといういう記事。モバイルSuica/楽天Edyは使っていてもLINEはアカウントすら持っていないので,まちがえるおそれがあるがコメントする。
店舗での支払いについて,LINEペイの普及はこれまでの電子マネーを超えて大いにありうるだろう。LINEペイは,「a)客がスマホにバーコードを表示し,店が専用読み取り機で読み取る」方式だけでなく,「b)店側がスマホでバーコードを提示し,客がスマホのカメラで読み取る方式」も導入している。a)だと手数料に加えて店の設備投資コストがかかるが,b)ならば小さな商店でも導入できる。よってLINEの手数料無料化+b)方式が可能な仕様は普及を大いに助ける。ちなみに私の使っているモバイルSuicaや楽天Edyは「c)客が特別仕様のスマホを使い,店が専用読み取り機で読み取る」方式なので,タッチ1秒という便利さにもかかわらず普及しにくい。
しかし,現金取引に慣れ切った日本人は,「現金を持ち歩き,店で現金で払う」ことを不便と感じず,むしろ着実・堅実と見てそこから容易には離れないかもしれない。これも大いにありうる。
思うに,多くの日本人がLINEペイを使いたいと思う決定的理由があるとすれば,それは「店舗で現金を使わずに払える」ことよりも,「振り込みをしなくてよくなる」ことではないか。
「店で現金で払う」ことは全然面倒と思っていない人も多い。しかし,そうした人でも,「銀行やATMコーナーに行って,振り込みによる送金をしたり受け取ったりする」のは恐ろしく面倒だと思っているのではないか。この「振り込みをしなくてよくなる」ことは,LINEペイで可能だろう。親から子への仕送りも,公共料金の支払いも,われわれの業界なら学会費の支払いも,スマホでLINEを操作すれば完了する(ただし,受け取った側が出金したいときは,LINE Moneyを自分の銀行口座に移して出金する必要があり,そこには手数料がかかる)。これらは,中国ではAlipayとwechat payでとうの昔に実現しているし,日本でも九州電力や神奈川県企業庁では対応しているとのこと。この「振り込みをしなくてよくなる」分野を広げられるかどうかが鍵ではないだろうか。
木内登英「銀行が「LINEペイ」に到底勝てない根本理由」東洋経済オンライン,2018年8月24日。
https://toyokeizai.net/articles/-/233362
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