2018年10月22日月曜日

ベトナム中部における魚の大量死第9報:調査結果いまだ発表されず (2016/6/9)

 ベトナム中部における魚の大量死問題第9報。New York Timesの報道。
 ベトナム政府は,原因に関する調査結果をまだ発表していない。そのため,全国的に政府への不信は募り,また当該地域の漁民の生活には大きな打撃となっているとのこと。
 これまで英字紙では指摘されていなかったことだが「数百人が,汚染された魚を食べて病気になったと信じられている」とこの記事には書かれている。事実の究明が必要だ。
 また,抗議行動を行う人々が警官隊に殴打されたことは,これまでの報道からもわかっているが,この記事では「500人を超える人々が逮捕された」と書かれている。だが,抗議行動と,それに対する弾圧の規模は,正直報道だけではよくつかめない。
 さらに記事では,政府はフォルモサ・ハティン・スチールの投資を歓迎しているために,同社に強い態度に出られないのではないかという不信感が指摘されている。これもその広がり具合はよくわからない。
 しかし,フォルモサやその親会社の台湾プラスチック・グループは,会社として「ベトナムの法を順守している」と声明したと報じられてはいるが,役員が説明することもなく,正式のプレスリリースも,詳しい科学的・技術的説明も,私の知る限りでは出されていない。また,これまでのデモの写真を見ると,フォルモサへの名指しの批判が多く見られる。
 フォルモサが魚の死の原因だという証拠は挙がっていないが,疑いも晴れていない。政府は十分な説明をしていない。ベトナムの人々の,フォルモサと政府への不信感が募ったままだとしてもおかしくない状況だと,私は思う。
Toxic Fish in Vietnam Idel a Local Industry and Challenge the State, New York Times, June 8, 2016.
http://www.nytimes.com/2016/06/09/world/asia/vietnam-fish-kill.html

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