2018年10月22日月曜日

雇用期間通算5年を超える時点での非正規労働者の雇止め問題を判断する基準について (2018/6/14)

 雇用期間が通算5年を超えようとするときに非正規労働者を雇い止める行為が,労働契約法で規定された無期転換を逃れるためであるのはどのような場合か。この記事が指摘するように,厚生労働省の通達でもそれは明確にされていない。それは,「職務と人」の対応関係を視ずに,「人」を雇うことだけを考えているからだ。正社員に対する考え方を非正規に適用していることから来る不整合とも言える。

 私の意見では,採るべき基準は明白だ。「職務が5年目以後も明らかに継続して存在し,誰かがそれを遂行する必要がある場合」には,これまでそれを遂行していた人を雇い止めする理由がない。例えば,経理のある仕事についていた非正規の人を2018年3月31日に5年目を迎えたところで雇い止めして,しかし4月1日以後もしばらく経理職務は存在する場合,ましてや雇い止めした人の後任を採用しようとしたた場合である。これらの場合,やるべき仕事は同じものが続いているのだから,勤務態度や成績に問題ない人を雇い止めする合理的な理由がないのである。

 逆に,職務そのものが組織再編でなくなってしまう場合には,雇い止めも,整理解雇もやむを得ないだろう。というのは,正社員と異なり,非正規労働者のほとんどは職務を指定され,特定の仕事をする者として労働契約を結んでいるからである。職務がなくなれば契約は解除される。

 日本の正社員は,職務との対応関係を考えずに,会社に入社するという形で雇われてきた。そのため,配置転換について会社に大幅な裁量がみとめられる一方,ある職務が失われても別の職務があてがわれて雇用が継続されるべきとされてきた。そのことの是非も問題だが,いま大事なのは,ほとんどの非正規の雇い方は違うということだ。特定の職務遂行のために雇われているのだ。だから職務が継続することを雇用継続の根拠とし,職務がなくなることを雇用終了の根拠としなければならない。そういう基準で行政が法解釈し,司法は紛争をさばけば話は整合する。これは理想でも何でもなく,十分に可能なことだ。

以上が,「無期転換の機会に雇い止め」という問題に関する私の考え方だ。

Faceboom2018年6月14日投稿を転載。

藤田和恵「非正規労働者 5年目の「ジェノサイド」 ―― 無期雇用への転換逃れか、相次ぐ雇い止め」 Yahoo!ニュース,2018年6月14日。
https://news.yahoo.co.jp/feature/985

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