2018年10月22日月曜日

中国鉄鋼業の輸出量と輸出比率(2016/3/23)

 経済産業研究所(RIETI)での報告に向けて懸命にスライドを作成中。しかし,毎度のことながら中国の「大きさ」をどう考えたものか。例えばこの図を見てほしい。
 いま中国鉄鋼業の過剰能力の存在は,中国政府も自ら強調する問題となっている。中国にとっては経済発展の妨げという点が問題だが,他国から見ると設備を少しでも動かそうと安値で輸出してくるのが問題だ。
 で,2014年の鉄鋼輸入,国内向け生産,輸出向け生産をグラフにするとこうなる。たしかに,輸出の「総量」(グリーンの部分)は中国がもっとも多い。しかし,日本も韓国もそこそこ多い。そして,生産に対する輸出の「率」(茶色とグリーンの合計に対するグリーンの比率)で見ると,実は中国は2014年までは10%もなく(昨年は突破したと思う),37.2%の日本や41.5%の韓国の方がはるかに高い。ただ韓国は輸入も大量に入っている(これがまた中国から集中的に入っているのだが)。
 つまり,中国の鉄鋼業界の側からすると,そんなに焦って輸出しているという意識はない。9割がたは国内に出荷しているからだ。ところが輸入品が流れ込む側の鉄鋼業界の意識からすると,鬼のように中国品が押し寄せてくるということになる。当然,意見はすれ違うだろう。すれちがう理由があるのだ。
 「GDPは日本を抜いたが1人あたりGDPはまだまだだ」という話もそうだが,「総量」と「率」がずれる,総じて「総量」の方がでかいというのは,中国を考えるときの難しさだ。それを特定の視点から,特定の立場に都合よく解釈しないように気をつけねばならないし,そういう解釈を声高に主張する相手には気をつけねばならない。

2016/3/23 Facebook
2016/4/17 Google+



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