2018年10月29日月曜日

核抑止力論に関する考察:北朝鮮の核兵器開発に直面して (2017/9/22)

 北朝鮮は核抑止力論に立っている。つまり,核兵器によって相手国,つまりはアメリカ合衆国を破壊することができるぞ,と示すことによって,自国への攻撃を回避しようとしている。そのことによって,自らの政治体制を維持しようとしている。
 これまで私は,体制を転覆しない保証や,開発援助を引き出すために核兵器開発を交渉の道具にしているのかと考えてきた。しかし,専門家の解説を読むと,少なくとも現時点ではそうではなく,いわば単純に核兵器を開発して核抑止力を確立することにまっしぐらであり,それを控えるような駆け引きはしないという態度だと理解する方が正確らしい。そして,核兵器はできてしまっており,あとは何千キロ飛ばせるか,その精度はどうかということが技術課題になってしまっている。
 この脅威を考えるときに,外せないことがある。それは,核抑止力論とは本来こういうものなのだということだ。
 対外関係における国家の存立は,国内の経済発展を基礎とした対外経済交流,権力と正当性をミックスした外交,そして軍事力によって支えられると私は思う。ところが北朝鮮は,経済交流も外交もきわめて脆弱であり,軍事は通常兵器ではおぼつかないと見て,核抑止力にもっぱら頼って存立しようとしている。こういうケースはレアであるが(やたらあってはたまったものではない),それだけ核抑止力というものの本質を表している。核抑止力とは,本質的に脅迫であり,対話を求めないものであり,相手国を破壊できると確証できるまでは,一直線に突き進もうとするものなのだ。核兵器完成までは自身の存立は保証されないと思い込んでいるから,その完成過程では対話や交渉に応じようとしないのである。
 アメリカと北朝鮮の戦争を起こすことなく,北朝鮮の核開発がもたらす平和への脅威を鎮静化させるという目の前の問題は,それにふさわしい具体的方策によって解決しなければならない(私は素人として,その仔細にあれこれコメントするつもりはない)。しかし,より大きく見て,核抑止力論がピュアに,むき出しに主張されればこういう危機が起こるのだということも,考えておくべきだと思う。普段は種々の要因と絡まったり,抑制されたりして,核抑止力論は現実主義的に平和を維持する論理であるかのように装っている。だが,そのもっとも純粋な形は,今の北朝鮮の金正恩政権の核兵器開発の論理なのだ。

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