2018年10月31日水曜日

半導体技術者の国際的引き抜きに見る終身雇用・年功序列慣行のひずみ (2018/2/1)



 終身雇用・年功序列慣行のひずみがあちこちに出ているが,これもその一つ。あいまいな査定と年功的処遇には,当然個々人で見ると過大処遇,過少処遇がつきまとう。
 ただ,企業は年功序列の処遇といっても,できるだけ「潜在能力」に一致させたいと仮定しており,「潜在能力」の年齢に応じたカーブを想定して処遇を決める。たいていの場合,「潜在能力」はある年齢までは上がって,あるところから横ばい,または下がると仮定される。だから,一定年齢を超えるた従業員の処遇は,一律に横ばいか切り下げと設定しておくことが合理的とされる。役職定年もその一つだし,この論理をつきつめたのが定年退職だ。しかし,「潜在能力」カーブに誰もが一致するわけではない。そして,一致しない場合の弊害というのは,この場合は「優秀な個々のベテラン」について非常に大きいということだろう。もちろん,「優秀な個々の若手」,「優秀でない個々の正規社員」,「優秀な個々の非正規従業員」のいずれについても,どんどん大きくなっているのであるが。

 それにしても,日本人技術者の引き抜きは峠を越えたと思っていたのだが,半導体メモリは今後の需要爆発が見込めるのと,中国企業が最近になって急速に生産能力が拡張しているために,まだ続いているようだ。

湯之上隆「50代の半導体技術者、報酬数十倍で中国企業が争奪戦…役職定年が日本企業を弱体化」Business Journal,2018年2月1日。
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22173.html

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