中国における製鉄設備の国産化は著しく進んでおり,もはやたいていの種類の設備を,それなりの技術水準で供給できるようになっているようだ。大手エンジニアリング企業中国冶金科工集団(MCC)の傘下にある中冶赛迪集団(CISDI)の英語サイトには,主要設備の納入実績が並んでいる。例えば高炉だとシェア先のような感じで,4000㎥以上を14基納入している。1000㎥以下も91基納入しているので,小型高炉の出所でもあるようだが。
昨夜,ネットをあれこれ検索した結果,台湾プラスチックグループがベトナムに建設中のFormosa Ha Tinh Steelの高炉のサプライヤもMCC=CISDIと判明した。国有資産監督管理委員会のサイトによれば,4000㎥以上の大型高炉を輸出する初めてのプロジェクトだそうだ。
ただ,中国企業の一人勝ちと言うほどではなさそうだ。フォルモサのプロジェクトも,転炉はスチールプランテック,連続鋳造機3種類はシーメンス,ホット・ストリップ・ミルは三菱日立製鉄機械なので,日本企業やドイツ企業もまだまだがんばってはいるのだろう(※)(※※)
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製鉄設備の場合,どの設備がハイテクで,設計・製造に高い技術水準を要するのかがよくわからない部分がある。また,必要技術水準が高いから難しくて国産化が遅れるという単純なものでなく,習熟効果が相当作用している。中国で高炉の国産化が進んでいるのは,高炉製鉄の歴史が長いこと,複数ソース(戦前ドイツ,戦前日本,戦後ソ連,戦後日本など)からの技術移転効果があったこと,多くの産業がそうだが産業規模が大きいので設備を建設する機会が多いということも当然関係しているだろう。
現時点ではっきりしているのは,川下に行くと,設備がだんだんと専用化されてきて,一部は種々のハイテクが必要になり,先進国企業に有利になるということだ。例えば,自動車用鋼板も製造するタンデム冷延や亜鉛めっき設備などは,日系企業もよく受注しているようだ。
※三菱重工とシーメンスは製鉄機械部門を統合した合弁会社プライメタルズ・テクノロジーズを2015年1月に発足させたので,フォルモサ向けの受注もこちらに移されたとみられる。
※※これは,フォルモサの設備がいい加減なものではないということをも意味する。もちろん,ハードウェアだけでよい鋼材が作れるとは限らないし,先の足場崩落事故のように,フォルモサの工事管理には問題があるのかもしれないが。
CISDI
http://www.cisdigroup.com/3-ironmaking-instruction.html
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