2018年10月20日土曜日

大企業の救済的再編を政府系ファンドで行う必要はない (2016/1/21)

私は,大企業の救済的再編を政府系ファンドで行う必要はないと思います。それこそ市場に任せればよいし,うまく機能していないならばそれこそ規制緩和と適度な監督という方向を目指すべきです。一部のハイテクを外資に買われたくないという気持ちはわかりますが,それなら国内企業が再編すればよいだけのことであり,政府の力を借りないと再編できないようでは,早晩持たなくなります。まして,白物家電再編にまで関与するというのは,気持ちすらわかりません。
 オープンイノベーションを目指す前向きの政府支援と言うのならば,ベンチャーに集中支援すべきです。それも,「新技術は不確実性が高すぎて,トライもさせてもらえない」という「市場の失敗」に直面しているハイテク系の,投資資金がかさみ,研究リードタイムが長いベンチャーに。
 また,この二つは同じ機関でできるものでしょうか。既存大企業の救済的再編に関与するマインドは,イノベーションで社会を変えるマインドと180度異なるのではないでしょうか。既存大企業の革新が停滞したところで,新規参入者が新製品・新技術・新ビジネスモデルを引っさげて参入し,従来の産業組織を変えていくとき,既存大企業はその地位を奪われる側に立つのです。イノベーション政策は,そうなることを抑止するのではなく,奨励し,推進するものです。「既存大企業の地位が脅かされてはならない」と言うマインドが同一組織内にある限り,イノベーション政策はできないと私は思います。

2016年1月21日facebook投稿を転載。
「産業革新機構,東芝の白物家電買収を提案」『読売新聞』2016年1月20日(リンク切れ)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160120-OYT1T50112.html

2016/1/21 Facebook
2016/1/27 Google+


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