2018年10月15日月曜日

Ana Mosneaga, Student Migration at the Global Trijuncture of Higher Education, Competition for Talent and Migration Management, in G. Tejada et al.(eds.), Indian Skilled Migration and Development: Dynamics of Asian Development, Springer, 2014に関するノート (2015/1/16)

 D'Costa教授来学準備の一環で読む。trijunctureというはあまり見ない単語でGoogle検索してもこの論文が冒頭に出るほどだが,たぶん三叉路だろう。「高等教育,人材競争,移住政策の三叉路における学生移住」といったところか。

 要約の訳。「学生の国際移住は,グローバル化する知識経済における人材流動性の部分集合と次第にみなされるようになっている。知識経済では,高等教育を受けた労働力が持続可能な成長の必須要件とみなされているのだ。本章は,欧州の行き先国におけるこの問題の展開に注目するとともに,高等教育のグローバリゼーション,人材をめぐるグローバル競争,国単位の移住管理方策のすべてが収束する合流点としての国際学生移動を構成する諸過程を検証する。本章はまた,留学生の移住と流動性に関する経験的なファインディングを総合的に位置づけるために必要な,より広いコンテクストを,この三叉路を構成する諸傾向についての現存する諸理解と論争のフレームワーク内で,明らかにする。その結論は,根の深い多くの緊張を指し示す。この緊張とは,高等教育のグローバリゼーション,人材誘致,移住管理という異なるアジェンダの相互作用を,しばしば不整合な政策創出に結果するような激しく紛争的な過程に変貌させるようなものなのである」。

 本稿で私が,「薄々は思っていたが,やっぱり世界的な課題なのか」と認識を新たにしたことが二つある。

 1つは,高等教育の国際化が世界的動向であり,それを引き起こす動因としての経済的競争の側面が強まっているということだ。OECDによれば,高等教育の国際化への国家の接近方法は四つあるとされている。1)相互理解,2)高技能者の移住,3)(高等教育機関の)収入創出,4)能力開発だ。1)は古典的な国際化だが,いまや2)3)4)の側面が強まっているのだ。別に日本と東北大学だけがあたふたしているのではないのだ。

 もう1つは,留学生を,移住という課題の中での独自の存在として位置づけねばならないということだ。これは研究だけでなく実践の課題だ。一方で教育の国際化を叫び,しかし,それが移住政策,入国管理政策,ひいては労働政策とばらばらでは話にならない。留学生を,国境を越えて労働市場に入ってくる候補者として位置づけていくことが必要なのだ。大学も,国内外で仕事を獲得する存在として,出口を含めて留学生教育を考えねばならない。
http://link.springer.com/chapter/10.1007/978-81-322-1810-4_5

2015/1/16 Facebook, Google+

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